解体業者の選び方。見積りで見る5項目と避けたい業者の特徴
情報の確認日:2026年10月21日(国税庁・国土交通省・法務省の公表資料)
解体業者は2〜3社の見積りを並べ、許可番号と見積りの5項目で選びます。項目が「一式」ばかりの見積りは比べられないので、数量と単価を書いた見積りに直してもらいます。地中埋設物が出たときの精算ルールは、契約前に文書で決めます。

この記事の結論
- 許可は解体工事業登録か建設業許可のどちらかが必須です。番号を答えられない業者には頼みません。
- 見積りは本体・付帯・処分費・諸経費・整地の5項目に分かれ、数量と単価が書かれているものを選びます。
- 相見積りは2〜3社で足ります。4社以上は条件を揃える手間が増え、判断が遅れます。
許可最初に確かめる3つの書類
解体工事を請け負うには、法律で決まった許可が必要です。請負金額500万円未満なら、建設リサイクル法の「解体工事業登録」で工事できます。500万円以上なら、建設業法の「建設業許可」(解体・土木・建築のいずれか)が必要です。
- 解体工事業登録または建設業許可:登録は工事をする都道府県ごとに必要です。番号を聞き、都道府県のサイトで照合します。
- 産業廃棄物収集運搬業許可:廃材を運ぶ会社が持っている必要があります。元請が自社で運ぶ場合を除き、運搬会社の許可を確かめます。
- マニフェスト(産業廃棄物管理票):廃棄物処理法で、排出事業者である元請業者が交付し5年間保存します。工事後に最終処分まで終わったことを示す写し(E票)を受け取ります。
床面積80㎡以上の解体は、建設リサイクル法の届出が必要です。届出をするのは発注者(施主)で、期限は着工の7日前です。実務では業者が代行しますが、委任状を書くのは施主です。届出をしない業者は選びません。
見積り見積書で見るべき5つの項目
解体の見積りは、次の5項目に分かれているものが標準です。項目ごとに「数量×単価」が書かれていれば、2〜3社を同じ土俵で比べられます。
| 項目 | 中身 | 見るところ |
|---|---|---|
| 1. 本体工事 | 建物の取り壊し、基礎の撤去 | 延床面積(坪・㎡)と単価。木造は坪あたり3〜5万円程度が目安 |
| 2. 付帯工事 | ブロック塀、庭木、物置、カーポート、浄化槽 | 現地を見て数量が入っているか |
| 3. 廃棄物処分費 | 木くず、コンクリート、石膏ボード、残置物 | 品目ごとの数量(t・㎥)と単価 |
| 4. 諸経費 | 重機回送、養生シート、足場、届出代行、近隣対応 | 本体工事の5〜10%程度が目安 |
| 5. 整地 | 地面の転圧、砕石敷き | 仕上げの方法(粗整地か、砕石か) |
※ 表は横にスクロールできます
家財が残っている場合、残置物の処分は一般廃棄物として別料金になります。見積りに「残置物処分」の行があるか、数量の根拠が何かを確かめてください。アスベストの事前調査費も別項目で書かれているのが正しい形です(アスベストの記事)。
危険「一式」が多い見積りはなぜ危ないか
「解体工事一式 150万円」のような見積りには、2つの問題があります。1つは他社と比べられないことです。もう1つは、追加費用が出たときに根拠を示せないことです。数量が書いてあれば「ブロック塀が10m増えた」と確認できますが、一式では確認できません。
追加費用が最も出やすいのは地中埋設物です。旧建物の基礎、浄化槽、井戸、瓦礫、杭などが地中から出てきます。掘るまで分からないので、どの業者の見積りにも含まれていません。民間の事例では、コンクリート片の撤去で約30万円、深い基礎で約200万円の追加が報告されています。
- 契約前に精算ルールを決める「地中埋設物が出た場合は、写真と数量を示したうえで単価精算する」と契約書に書きます。
- 単価を先に聞くコンクリート殻1tあたり、浄化槽1基あたりの撤去・処分単価を見積りの備考に書いてもらいます。
- 出てきたら立ち会うか写真を受け取る遠方なら、埋設物の写真と搬出量の伝票を送ってもらい、承認してから作業を進めてもらいます。
特徴避けたい業者の7つの特徴
- 許可番号を答えない:登録も許可もない業者は違法です。工事中の事故や不法投棄の責任が施主に及ぶことがあります。
- 現地を見ずに見積りを出す:付帯工事と残置物の数量が入っていないので、追加が前提の金額です。
- 見積りが「一式」ばかり:比較も追加の確認もできません。
- 処分費が極端に安い:木造30坪で廃棄物処分費が30万円を切る見積りは、不法投棄の疑いを持ってください。
- マニフェストの写しを渋る:交付と保存は法律上の義務です。渋る理由がありません。
- 近隣挨拶と写真を約束しない:着工前の近隣挨拶、工事前後の写真は、トラブル防止と補助金申請の両方に必要です。
- 補助金の書類を知らない:自治体の解体補助は、着工前の申請、見積書の様式、完了写真が必要です。慣れていない業者だと申請が間に合いません。
補助金を使う予定なら、見積りを頼む時点で「この自治体の補助金を使います」と伝えてください。要件に合う見積書の書き方を知っている業者は、その場で答えられます(市区町村の補助金)。
進め方相見積りと紹介サイトの使い方
相見積りは2〜3社で十分です。延床面積、付帯物、残置物の有無、整地の仕上げを同じ条件で伝えます。金額差が20%を超えるときは、安い側の処分費と付帯工事の数量を確かめます。
紹介サイト経由にはメリットと注意点の両方があります。メリットは、許可を確認済みの業者が複数まとめて見つかること、トラブル時の相談窓口があることです。注意点は、業者が成約額の10%前後の手数料をサイトに払う仕組みが多く、その分が見積りに乗ることがある点です。複数社から一斉に電話が来ることもあります。
紹介サイトを使う場合も、最終判断は許可番号と見積りの5項目で行います。サイトが選んだ業者だから安全、とは考えないでください。地元で解体の実績がある業者を1社、紹介サイトから1〜2社、という組み合わせが現実的です。
FAQよくあるご質問
見積りの金額差が大きいとき、安い業者を選んでよいですか。
処分費と付帯工事の数量を比べてから決めてください。処分費が極端に安い見積りは、不法投棄や後からの追加費用につながることがあります。差が20%以内で項目が揃っていれば、安い業者で問題ありません。
遠方に住んでいて、工事に立ち会えません。
着工前・工事中・完了後の写真を送ってもらう約束を契約書に書きます。地中埋設物が出た場合も、写真と数量の承認を経てから作業する条件にします。近隣挨拶は業者が代行できますが、挨拶した家の一覧を受け取ってください。
解体工事業登録と建設業許可は、どちらが安全ですか。
どちらも法律上の資格で、安全性に差はありません。500万円以上の工事は建設業許可が必要です。木造30坪の解体は500万円未満が普通なので、解体工事業登録の業者でも請け負えます。
出典
- 国土交通省・各都道府県「建設リサイクル法の届出」(床面積80㎡以上の解体、発注者が着工7日前までに届出)
- 神奈川県「解体工事業の登録と建設業許可」(請負金額500万円未満は解体工事業登録で施工可)
- 環境省・各自治体「産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度」(廃棄物処理法。排出事業者が交付し5年間保存)
- 株式会社クラッソーネ「地中埋設物の事例資料」(追加費用の事例。民間資料)
税金の扱いは個別の事情で変わります。この記事は制度の概要で、税務の助言ではありません。申告の前に税務署または税理士に確認してください。