相続した実家を売るときの3,000万円控除。解体するか・しないかの判断
情報の確認日:2026年10月21日(国税庁・国土交通省・法務省の公表資料)
相続した実家を売るとき、条件を満たせば利益から最大3,000万円を引けます。使えるかどうかは、家の築年、売る時期、売り方で決まります。解体を先にするか後にするかで条件が変わるので、解体の前に一度だけ確認してください。

この記事の結論
- 相続した1981年5月以前の実家を、相続から3年目の年末までに1億円以下で売ると、利益から最大3,000万円を引けます。
- 2024年以降の売却は、売った翌年2月15日までに買主が解体しても使えます。先に解体して更地で売っても使えます。
- 相続人が3人以上なら控除は2,000万円。適用は2027年12月31日までの売却です(延長が要望されています)。
制度どんな制度か
親が一人で住んでいた家を相続して売ると、売った値段から買った値段と諸費用を引いた「利益」に税金がかかります。親が何十年も前に買った家は買値の記録がないことが多く、売値の5%を買値とみなす計算になります。すると、2,000万円で売れば約1,900万円が利益になり、約390万円の税金(税率20.315%)がかかります。
この特例を使うと、利益から3,000万円を引けます。上の例なら利益はゼロになり、税金はかかりません。「空き家の3,000万円控除」と呼ばれています。
条件使える条件(国税庁 No.3306)
家の条件
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家であること
- マンションなど区分所有の建物ではないこと
- 亡くなる直前まで親が一人で住んでいたこと(老人ホームに入っていた場合は、一定の条件で対象になります)
売り方の条件
- 相続した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売った値段が1億円以下であること
- 相続してから売るまで、貸したり、自分が住んだり、事業に使ったりしていないこと
- 親子や夫婦など特別な関係の人に売っていないこと
判断解体してから売るか、そのまま売るか
この特例は、家をそのまま売る場合は「耐震基準を満たす」ことが条件です。古い家で耐震基準を満たすのは現実的ではないので、実務では次の2つのどちらかになります。
| 売り方 | 条件 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 解体して更地で売る | 解体後、売るまで建物を建てないこと。解体費用は自己負担 | 家財の片付けを自分で進めたい。売却まで時間をかけられる |
| そのまま売り、買主が解体 | 売った翌年2月15日までに買主が取り壊すこと(2024年以降の売却) | 解体費用を払いたくない。早く手放したい |
※ 表は横にスクロールできます
買主が解体する方法は、解体費用の分だけ売値が下がるのが普通です。解体費用の目安と市区町村の補助金を先に確かめて、どちらが手元に多く残るかを比べてください。
注意:解体しても更地のまま売れないと、翌年1月1日に固定資産税の特例が外れて土地の税額が上がります。解体の時期は売却の見通しと合わせて決めてください(固定資産税の記事)。
手続き申告までの順番
- 市区町村で「被相続人居住用家屋等確認書」をもらう家のある市区町村の空き家担当課で交付されます。親が一人暮らしだったことを示す書類(住民票の除票など)と、解体・売却の書類が必要です。
- 売った翌年の確定申告で申告する譲渡所得の内訳書、登記事項証明書、売買契約書の写し、確認書を添えて税務署に出します。
- 解体の補助金とは別に考える市区町村の解体補助は、この特例と併用できる自治体(横浜市など)と、できない自治体(高崎市など)があります。各自治体のページで確認してください。
FAQよくあるご質問
相続人が3人以上だと控除額はいくらですか。
2024年1月1日以降の売却で相続人が3人以上の場合は、1人あたり2,000万円です。2人以下なら3,000万円です。
期限が切れたら使えなくなりますか。
現行の期限は2027年12月31日までの売却です。国土交通省は2031年12月31日までの4年延長を要望しています(2026年10月時点で未決定)。期限が近い人は延長を当てにせず動くのが安全です。
親が老人ホームに入っていた場合は使えますか。
要介護認定などを受けて入所し、入所後に家を貸したり他人が住んだりしていなければ、一定の条件で対象になります。細かい条件があるので税務署に確認してください。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(令和8年4月1日現在法令等)
- 財務省 令和9年度税制改正要望(国土交通省)「空き家の発生を抑制するための特例措置」
税金の扱いは個別の事情で変わります。この記事は制度の概要で、税務の助言ではありません。申告の前に税務署または税理士に確認してください。